新現代を斬る・斜陽篇

政治と宗教のFC2版「余震と雑感」専門の雑文ブログです

やっぱり「疑惑」がNo.1!

(今回もネタがバレバレ!)疑惑DVDをアマゾンで再発価格で安く購入しましたが、象印効果?wで売れているようです。個人的に清張・芳太郎コンビのベストワンはこの作品ですね。20年前レンタルで観た時には桃井かおりさんが真犯人で岩下さんが騙されたのかなあと思っていましたがw今回よく観てみるとやっぱりこの鬼塚球磨子は無罪らしいのですね。ただ悪女ホステスとして富山の社長をたらし込み、福太郎は息子を心中に誘いますが拒まれ、靴とスパナで退路を塞いで死のダイブを決行するのです。しかし悪運強い彼女のみフロントガラスから飛び出して生き残り、渦中の中無罪を勝ち取って自分の生命力と男たらしの生き方に一層自信を深めていくというところであのラストシーンになるのだと考えます。当初野村監督は砂の器のように冤罪を被せられた球磨子被告に同情的な結末を想定していたらしいのですが、原作者である清張氏が本篇のようなラストにと押し切ったようです。結果人間の業の深遠を垣間見せる名作となりました。ジュースの缶が挟まっていたのは謀略殺人だ!と思ったのは早計で、そんな偶然も知的に処理する岩下志麻さん扮する国選弁護人は四面楚歌の中鮮やかな勝利を勝ち取りますが、山田五十鈴さん桃井かおりさん真野響子さんに「冷たいイヤな女」と正面から言われます。こうした2人の対照性も原作者の提案と言われており、それで「脚色」とクレジットされているようですね。とにかく岩下・桃井・稔侍・鹿賀・柄本の主要5名の俳優さんの人気度は今なお高く、全員とも現役バリバリでテレビでのコミカルな要素も強いので、20年前に観た時ほど怖くはなかったのですが、やはり初めから最後まで画面構成がきちっと絵になっていて無駄がなく面白いのです。後半からラストに向けてどんどんテンポが上がっていきます。背景は日常の延長でどちらかといえば殺風景なのですが、配役の妙もあってまさにその点が個々の役者さんの素顔?wを引き出すのにも貢献していると思うのです。さらにリアルな見応え、秀逸な演技の臨場感につながっていると思います。柄本さんも全篇凛々しいのですが最後は残念・・・五十鈴さんと道頓堀川のように三味線を弾きたくなるくらいの無念さですw 象印の起用はいかにこの映画の人気が高いかの証ですね。仕事屋にもゲスト出演していた桃井さん、節分に引っ掛けて鬼塚、笑うとコワい球磨子(=顔の隈・・・人間の業)役の名演技でした。